第5章 ハイバリアー多層ラミネートチューブの開発

2023年9月15日

ラミネートチューブ開発の歴史

ラミネートチューブの開発の歴史は、歯磨き用チューブのラミネート化から始まったといえる。1960年代後半、歯磨き用チューブを金属チューブからアルミ箔入りのラミネートチューブ化する開発がスタートした。
金属チューブは、内容物を押し出しにくく、使用途中でチューブが切れてしまうなどの使用性の問題から、ラミネートチューブ化の開発が進められた。ただし、使用時にエアバックが少なく、チューブ内に空気が入りにくいという金属チューブの特徴はそのまま活かしたいという要望もあり、最初に作られたラミネートチューブは、チューブの胴部の積層構成に特殊な紙(パーチメント紙)が含まれており、また印刷はその紙の基材に行われていた。
しかし、内容物充填後、紙の吸湿により、胴部の貼り合せ部分において、内容物の浸透による端面からのデラミの発生や、カビが発生するといった問題があり、それらを解決するため、紙は白色ポリエチレンフィルムに置き換えられ、また印刷基材としてポリエステルフィルムが用いられるようになり、印刷の意匠性も格段に向上した。

ラミネートチューブの食品への展開

アーカイブ5章図1

歯磨き用ラミネートチューブが、使用性のよさから広まっていく中で、食品用途への展開が始まった。1980年代に入ると、従来缶入りであったコンデンスミルクのラミネートチューブが開発された。コンデンスミルクは脂肪分が多く、酸化されやすいという特徴があるため、ラミネートチューブにもハイバリアー化が求められた。チューブの胴部は、バリアー材としてアルミ箔を使用することでバリアー性を維持できるが、コンプレッション成型により作られる肩の部分は高密度ポリエチレン樹脂のみとなってしまい、酸素バリアー性に劣るという欠点があった。
そこで、アルミ積層フィルムを冷間成型した部材を、チューブの肩部の内側に挿入しながら成型するという技術を開発することにより、胴部と肩部にアルミのバリアー材が入ったハイバリアー性をもつラミネートチューブが作られた。
この技術により、ラミネートチューブは、缶に近いハイバリアー性を維持しつつ、使いたい分だけ何度も中身を出せるなど使用性が大幅に向上した容器となり、また容器内にスプーンを入れる必要がなくなったことから、開封後の衛生性も大幅に向上させることができた。

ラミネートチューブのアルミレス化

1980年代後半になると、酸素バリアー性に優れたエチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)を用いたハイバリアー性をもちながら、透明性にすぐれたアルミレスラミチューブが開発された。これにより、内容物が外から見えるという特徴が生まれ、わさび、からし、ミソ、マスタードなどが次々と製品化された。またパンの消費が増えるとともに、パン周りに用いるマーガリンなどのスプレッドや、チョコクリーム、ピーナツクリームなどの製品も登場し、ラミネートチューブ製品の増加につながった。

アーカイブ5章図2
写真1 シリカ蒸着PETを用いたラミネートチューブ

アーカイブ第5章図3
表1 食品用ラミネートチューブ胴部のフィルム構成例と内容物例

さらに1990年代になると、透明ハイバリアーフィルムとしてシリカ蒸着ポリエステルフィルムが開発された。これにより、エチレンビニル共重合体フィルムの弱点であった、高湿度化での酸素バリアー性低下や保香性低下を克服した透明ハイバリアーチューブとして製品化されるようになった。また、印刷基材としてエチレンビニル共重合体フィルムを用いる場合、印刷環境の湿度の影響により、印刷の寸法安定性が不安定になるという問題もあったが、シリカ蒸着ポリエステルフィルムを用いることにより、湿度の影響がなくなり、加工適性が格段に向上し、現在最も広く使われている。アルミレスチューブにおいては、遮光性が必要な内容物について、アルミ蒸着ポリエステルフィルムや着色したポリエチレンフィルムを用いたチューブも製品化されている。

ラミネートチューブ製品の今後

チューブ容器は、内容物を適量だけ繰り返し押し出すことができ、またビンや缶のように、内容物にスプーンなどを入れる必要がなく使用時の衛生性に優れるなどの特徴をもつ機能性の高い容器である。中でもラミネートチューブは、グラビア印刷が可能なため意匠性にも優れる。また内容物の特性によりバリアー材を適宜選ぶことができ、風合いについても表裏に用いるポリエチレンフィルムの厚みの変更より対応することができるなど、包装材料の組み合わせにより最適な容器設計が可能な高機能包装容器である。
歯磨き用として始まったラミネートチューブの歴史は、食品容器として現在広く用いられ、今後もさらなる高機能化の追及のもと、広く使われていくと考えている。

(執筆者:大科千鶴子 大日本印刷株式会社)

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